ワクチンでも予防できない病気
ネコの病気は症状が表に出にくいため、飼い主が見のがしたり、人間同様に扱って自己流の治療をしたりして悪化させてしまうことがよくあります。
中には命にかかわる病気もあれば、人間にうつる病気もあります。
自己判断で処理せず、さまざまな病気の可能性を考えて、早めに動物病院を受診しましょう。
ごろ寝ポーズも、長時間続けば病気のサイン。
回虫症
- 下痢がちでやせてくる
- 舌や唇が白くなる
- 貧血症状が出る
便を介してほかのネコに感染する恐れも。
回虫が腸に寄生しネコの体から養分を吸って成長するので、ネコは食べるわりに痩せ気味の傾向。
ウンチはまめに片づけてトイレを清潔の保ち、定期的に検便を。
条虫症
- 吐く
- 下痢をする
- 貧血症状が出る
ノミや小動物から感染。ノミ駆除の徹底を。
一番多いのはノミが運ぶ犬条虫でノミ駆除が先決。
猫条虫、マラソン裂頭条虫は条虫のいる小動物を食べると感染。1~2㎜の白い虫が落ちていたら駆虫を。
皮膚真菌症
- 円形離毛
- 脱毛部のかさぶた
- 急速に全身に広がる
人間に感染し、円形の皮疹が出ることも。
毛や皮膚に寄生する真菌とよばれるカビが原因。
ネコを抱いた人にもうつることがあるので注意。
抗真菌剤などの薬を獣医の指示に従って使う。清潔が大切。
イエローファット
- 腹部にしこりができる
- しこりが連続している
- しこりに触ると痛がる
青背の魚、肉などの偏食が原因。
アジやサバなど青背の魚に多い不飽和脂肪酸のとりすぎや、肉に偏った食事がもとで起こる脂肪組織の炎症。
ビタミンEの摂取で予防。治療には数カ月を要する。
トキソプラズマ症
- リンパ節の炎症
- 網膜の炎症※ただし無症状のことが多い
妊婦にうつると流産や死産の可能性が。
さまざまな動物に感染するトキソプラズマ原虫が原因。予防にはネコに生肉を与えず、妊婦はネコのトイレ掃除を避ける。
ゴキブリなどの害虫駆除も有効。
猫伝染性腹膜炎
- お腹や胸に水がたまる
- 目の中に白いフワフワ
- 下痢をしてやせる
怖い病気で、発症したら約95%が死亡。
ウイルスが原因。腹水ではお腹がはり、胸水では呼吸が乱れる。食欲減退することもあれば、下痢を失しつつ通常のエサを食べることも。
治療は症状の軽減が主。
ネコ免疫不全ウイルス感染症
- リンパ節がはれる
- 下痢をする
- 慢性的な口内炎
通称猫エイズ。長期間苦しむケースが多い。
ネコ免疫不全ウイルスによって免疫力が低下する。
初期はリンパ節の腫れ、下痢など。
その後症状が消え、進行するとさまざまな症状が。
人間には感染しない。
下部尿路疾患
- 尿が赤い
- 強いアンモニア臭
- 尿が出ない・出にくい
悪化すると尿毒症から死に至ることも。
尿道結石などが原因で起こる泌尿器病の総称。
悪化すると命の危険も。
予防は水を自由に飲ませ、トイレを使いやすくすることが有効。
子宮蓄膿症
- 黄色っぽいおりもの
- 多飲多尿
- 熱っぽく元気がない
子宮のひどい炎症。
薬での完治も可能。
子宮に細菌が感染し、ひどい炎症を起こすメス特有の病気。
子宮摘出手術もあるが、薬で完治させれば出産も可能。
多飲多尿のとき、腎臓病と並んで疑われる。
耳疥癬症
- 耳をかく、頭をふる
- 耳がくさい
- ベタベタした黒い耳アカ
かきすぎによる傷や炎症に気をつけて。
原因はダニなどの寄生虫。
耳を地面にこすりつけるしぐさにも注意。
病院で駆虫と薬物治療を。
エリザベスカラーでかきすぎを予防。
普段から耳を清潔に。